私の偏見かもしれませんが、「子育て講座」って、「心持ちを変えなさい」などというような精神論が多いように感じます。そして「子どもを怒鳴ってはいけません」「否定するような言い方はしない」などと言われます。たしかに正論ですが、それができれば苦労しませんよね。
でも逆に、自分が「座ってはいけません」「目をつぶってはいけません」などと指示されたらそうでしょう? なんだかムッとしませんか?「ちゃんとしてください」と言われたら、なにが「ちゃんとしていない」のかわからないですよね。怒鳴られて反省するなんて難しいですね。
では「そっちは行かないでー!と言うのではなく、「ドアの横に立ってね」とか、「信号よく見て!」ではなくて「青に変わったら渡ろうね」と言ってみたらどうでしょう。「ちゃんとしなさい」ではなくて「電車の中では大声を出さずにまっすぐ座ろうね」とか、「大声を出さないで」ではなく「(5段階の)2の声で話そう」とか。否定形ではなく肯定形、曖昧ではなく具体的なフレーズを少しずつ増やしてみたら良いのかもしれません。
もうひとつ。発達心理学では「乳幼児〜児童は頭の方向転換に時間がかかる」ことがわかっています。興味を持ち始めるとなかなかやめられない。だから「もう片付けましょう」と言っても遊び続けます。叱られても遊び続けます。無理に片付けさせると泣き出します。
解決策は、たとえば一定時間、普通のトーンで「片付けて」と言い続けます。そうすると方向転換の回路が働いて、片付け始めたりします。もう一つ、あらかじめ「時計の長い針が8になったら片付けようね」と言ってみる。わりとうまくいきます。
大人も同じですね。子どもの気持ちを自分に置き換えてみるとうまくいくことも多いのだと思います。