スタンフォード監獄実験という心理学の実験があります。学生を2つのグループに分け、一方は刑務所の看守役、もう一方は囚人役として、どちらもそれらしく振る舞うよう指示します。そうするとどちらの役の学生も、行動だけでなく精神的にもその役になりきってしまうのです。看守役は囚人役に対してどんどん暴力的になり、囚人役は抵抗しなくなり、心が蝕まれていきます・・・
「立場が人を作る」と言われますが、この実験ではそれが悪い方向に行ってしまったのですね。保育者が保育者らしくなっていく、親が親らしくなっていくのは(良い意味で)実感していますが、それがもし悪い方向に行ってしまったら・・・保育者も親も、一歩間違えると子どもに対して権威的、威圧的になり、コントロールしようとするかもしれないわけです。
スタンフォードの実験の結果を分析した心理学者たちは「このような悪い結果にならないためには、相手の立場を理解する、相手に寄り添うことが大切だ」と言っています。私も先生たちも、自分が悪い方向に行っていないかときどき振り返るようにしています。