乳幼児の時期はコミュニケーションの仕方がまだ発展途上。友だちを叩いてしまったり強い言葉を言ってしまったり。そういうとき先生は「あなたがそうされたらどう感じる?」と聞いたりします。すると子どもは「イヤだ」って答えます。「じゃあお友だちがやられたら?」と聞くと、「イヤだと思う」と答えるお子さんもいますが、「え?」という顔をするお子さんも多いのです。幼児期まではそういうものなんです。「相手の立場に立つ」「逆の側から考えてみる」というのは、そう簡単なことではないのです。
「気持ち」について逆から見ることは難しいし、友だちとの経験をたくさんしなければなりません。とはいえわざとトラブルを引き起こすように仕向けるのは良くないですよね。
そこで幼稚園では「気持ち」ではないけれど、反対側から見たりする経験をできるようにしたりします。たとえば園庭の遊具を下から・上から見たり、ふたば幼稚園のホールでは2階の回廊から見る経験もできます。そうやって「見る」ことの経験が、「気持ち」を反対側から考えることにもつながっていきます。おうちでもぜひそういう経験の機会を作ってみてください。
大人でも反対から見たり考えたりするのは難しいものです。特に子どもの側の見え方や気持ちって、あんまり気にしなくなっていきますよね。赤ちゃんからはメリーをどう見えていたのかとか。ちょっと子どもの目線から見てみるとおもしろいし、子どもの気持ちに寄り添えるようになるかもしれません。
視点の移動の例としていちばん有名なのは、J.ピアジェの「3つの山問題」です。ちょっと文章が難しいのですが、
3つの山問題
こんな感じです。幼児期の子どもにはかなり難しい課題です。
「心」の視点移動で有名なのは、「サリーとアン」課題です。
サリーとアンの課題(心の理論)|からすのひろいもん
このページでは発達障害をメインに書かれていますが、定型発達児も4歳くらいまでは正しく答えられないと言われています。