「子どもは褒めて育てよ」とよく言われます。たしかに「けなして育てよ」「叱って育てよ」と言う人はほとんどいません。(たまに、スパルタの運動部とか塾はありますが)

 しかし、教育学や心理学の専門家は「それは半分正しくて、でも半分間違っている」と言います。なぜでしょう。

 実は、同じ褒めるでも、「何をどう褒めるのか」によって効果が違ってくる、もっというと正反対の効果になってしまうのです。たとえばおゆうぎ会のダンスを「可愛かった」「素敵だった」「上手だった」と褒めたとすると、もちろん子どもは喜びますが、子どもはそこで「もっと上手になりたい」という努力をしなくなるというのです。「自分は上手で、ダンスは可愛くて素敵だったのだ」と現状維持で満足してしまう。自己肯定感は持てますが、根拠のない自己肯定感。

 そうではなく「頑張って練習したんだね」「指をピンと伸ばしていていたね。難しかったでしょ?」のように、能力よりも努力、結果よりもプロセスを認めたり具体的に良かったところを伝えることで「これからも努力しよう」という気持ちが生まれます。

 とはいえ、褒めるときにそんな事を考えている暇はないですね(笑)。「あ、今私は能力や結果を抽象的に褒めただけだ」と気づいたら、努力を具体的に褒める言葉を付け加えてみてはどうでしょう。

 私は「褒める」という言葉があんまり好きではありません。「結果を抽象的に」褒めているように思えるからです。代わりに「認める」という言葉を使うようにしています。努力を具体的に伝えるという意味で。そしてこの言葉は「あまりうまくいかなかった」部分を伝えることもできます。「あと◯回練習していたらもっとうまくできるようになるかも」「鏡の前で練習するとどこを直せばよいかわかるね」など。叱るのではなく、今後に繋がる情報を交えて励ましていくことで、子どもは罪悪感や劣等感を持つことなく、次も頑張ってみようと思うものです。