今年度最後の月ですね。振り返りも大切ですが、未来のことを考えてみたいと思います。とくに年長さんは4月から小学校なので、勉強のこと。まだ来年も園で過ごす方も、少し先にその未来が待っています。
学習指導要領には、小学校の学習はその順番と理解がとても重要だと書かれています。それは、勉強は発達段階に応じて行うのが一番豊かになるからです。
子どもの発達には順序があります。子どもによって発達のスピードの違いや、分野ごとの発達の凸凹もありますが、「順序」はみんな一緒です。
身体の発達で言えば、基本的に粗大運動から次第に微細運動に発達していきます。言葉は喃語→1語文→2語文→短いセンテンス→・・・ですね。遊びは一人遊び→傍観→並行遊び→連合遊び→協同遊び。
他にもたくさんの分野に発達段階はあります。もちろん前の発達段階の行動もしますが、ある発達段階をすっ飛ばして次の段階の行動をすることはできません。
できるだけ速く学ばせようとすると、テクニックを教えることになります。例えば算数の文章題では「最初に出てきた数を次に出てきた数で割る」なんて教える塾もあります。これ、かなり効率的です。発達段階をすっとばせます。でも次の問題をやってもらうとなかなかの割合の子どもが間違えます。
Q. 100グラムの水に10グラムの塩を溶かしました。塩水の濃度は何%ですか?
→「テクニック」だけを「速く」学んだ子は「10%」と答えがちですが正解は
10÷(100+10)≒0.09→約9%です。
文章をちゃんと読む力、推理する力、論理的に考える力が育つ前に、数字を並べるだけのテクニックを覚えてしまうとこんな間違いをしてしまいます。そして、なぜ間違えたのかがわかりません。
どんな科目でも、意味を理解することが大切です。促成栽培では豊かな学びにつながらないのです。