よく「学校の勉強なんて役に立たないことばっかり。将来の仕事に役立つことを教えてくれたらいいのに」という意見を聞きます。その意見に対して「いや、円周率も三角関数も、元素の周期表も歴史の年表も、いろいろな分野で役に立っている」と反論する人がいます。そしてその反論に「それはその分野に進む人だけが学べばよいので、普通に生きていく多くの人には必要がない」と再反論が出てきます。
たしかに上に挙げた学習内容を一生使わない人がほとんどでしょう。
そうすると、幼稚園児が折り紙を折ったり絵を描いたり歌を歌ったり⋯という遊びはムダもいいところですね。(屋外あそびは「健康になるし体力もつくから役に立つ」と、あんまり批判されませんが)
でも私は、そのムダこそが子供の性格や人格を形づくり、生きる力の源となり、幸せな人生を歩むための原動力になるのだと思っています。上にあげた「ムダ」な遊びをしているときの子どもの顔は嬉しそうだったり真剣だったり、とにかく幸せそうです。そういう「ムダ」なことをたくさんした子どもは、学校で勉強することも、仕事をすることも楽しく、意義を感じて行うことでしょう。
あ、もちろん「役に立つ」ことを実践することも大切ですね。子どもにとって「やってみたらうまくいった(うまくいかなかった)」」という経験は挑戦する心を高めます。大人はそんな経験をした子どもに「結果」を褒めたり批判するのではなく、挑戦する姿を褒めたり、失敗しても励まし、一緒に失敗の原因を探したりすることで、子どもにとってその経験はより深く心に刻まれることになるでしょう。