日本の昔話の代表格といえば「桃太郎」ですね。ほかにも浦島太郎とか竹取物語(かぐや姫)などもありますが。最近は素敵な絵本がたくさん出ていて、桃太郎はあまり読み聞かせないかもしれませんが、誰でも知っているお話ですね。
 「勧善懲悪」「立志伝」「冒険」「年長者(祖父・祖母)を敬う」という内容が印象に残る、子ども心にワクワクするお話です。
 ところがそんな誰しもが認める「良いお話」にイチャモンを付ける人もいました。代表的な人が、なんと福沢諭吉と芥川竜之介。
 福沢諭吉は「桃太郎は理由もなく鬼の宝をとりにいったのであり、盗人(ぬすっと)ともいうべき悪者だ。仮に鬼が悪者であり、世の中の害となるのなら、これを懲らしめることは良い事である。しかし、宝をとりお爺さんとお婆さんあげるのは、欲のための行為であり、この上なく卑怯である」と述べています。
芥川竜之介は「桃太郎が鬼退治に行くのは、おじいさんおばあさんのように汗水たらして地味に生きるのは嫌だという射幸心(努力や苦労をすることなく、利益を得ようとする心)が動機だ」と書いています。そして鬼たちは平和を愛している、心優しい存在として描かれます。
 ひねくれていますね(笑)でも諭吉も竜之介も、このストーリーが正しいと言うつもりで書いてはいません。良い話だとしても鵜呑みにしてはいけない、いろいろな角度からとらえ直してみると考えが深まるのだと言っているのだと思います。
 幼児はまだそういう思考を持っていません。たとえば「相手の立場、気持ちになってみる」というのも難しいので、そこで大人の出番です。「自分が相手だったらどう思うかな」「こうも考えられないかな」とアドバイスできたらかっこいい大人ですね。(あんまりやりすぎると嫌なやつになってしまいますのでサラッと言ってみるとよいかと思います)

ところで、浦島太郎のお話には「教訓」があるでしょうか?考えてみると面白いですね。