6月中旬の園児さんの痛ましい事件、半月たっても忘れられません。お二人のご冥福をお祈りします。また、専門機関の徹底的な原因追求と対策を期待しています。
今回の件では行政からの情報がないに等しく、マスコミが報道するまでなにもわからない状態でした。初期段階であちらの園長先生には少しお話をお聞きしましたが、つらい思いをなさっている中、しっかりと正しい情報をお伝えいただきましたが。
このように情報が限られてしまうとどうしても噂やデマが広がってしまいます。ふたば幼稚園は「確認できた正しい情報」をお伝えしてきましたので、保護者の皆さんはデマに惑わされなかったと思います。保護者の方にお願いしたいのは、どんなことでも「正しい情報」を選んでいただきたいということです。では「正しい情報」を選ぶにはどうしたら良いのでしょう。
(ここから園だよりに追加)
一次情報源とは、「本当に信頼できる情報源」です。具体的には、対象から直接情報を受け取れて、しかもウソをつかない情報源。
今回の件で言えば、行政の情報が一番信頼できるでしょう。(もちろん「行政だってウソをつく」こともありますが、それへの対策はあとで書きます)
その次に信頼できるのは、(偉そうですが)幼稚園や学校です。幼稚園や学校は行政からの情報が入ってきやすいですし、必要なら行政機関に情報を出させることもしますから。
その次はテレビや新聞などのマスコミ。マスコミも誤報をしたり推測で報道したり、時には都合の良い用にウソをつくことがありますが、噂よりもマシです。
そして、一番信頼できないのは「噂」ですね。噂はほぼ確実に「デマ」に変化していきます。これについてもあとで書きます。
2.複数の情報源にあたる
一次情報源であってもウソをつく、何かを隠すこともあるでしょう。今回の件では行政はウソをついていないと思いますが、ことがらによっては嘘をついたり隠してしまうこともあるでしょう。そこで、他の情報源にもあたることが大事です。それもできるだけ信頼できる情報源を探しましょう。
そして、その2つの情報源が食い違っていたら、さらに調べるか、食い違っている部分は保留にして、新しい情報が出てくるまでは信じないようにしましょう。
噂にも、正しい噂と間違った噂(デマ)があります。ですので「すべての噂には耳をふさぐ」のも、情報から遠ざかってしまうことになるかもしれません。噂を聞いたらできるだけ信頼できる情報を探してください。自分から情報を取りに行く(信頼できる情報源に問い合わせる)ことも必要な場合もあるでしょう。
3.情報を疑ってみる
今回の件では「他にも被害者が」というデマが飛びました。たしかに「ありそうな」話です。これも上に書いたように、他の情報を待ちましょう。マスコミなどから同じ情報が出なかったら、デマと思っておくほうが安全です。
また、情報はうまく操作してもっともらしいウソをつくこともあります。あるいは、悪意がなくても結果的に嘘の情報になってしまうこともあります。
よく聞くのは、スマホの料金やシステムですね。2年縛りとか解約料など、ちゃんと説明してもらえないケースもあります。
私が授業などでよく使うケースは「銀行が調べたところ、国民1人あたりの預金額は平均400万円」というもの。「え、そんなに貯金しているのか。私はそんなに貯金がない。大丈夫だろうか?」と思ってしまいますね。でもよく考えてみると、これは銀行が調査しているのだから預金口座の残高だろう、すると銀行に口座を持っていない「預金していない」人(=0円)のデータが入っていないことがわかります。また、家族で口座を1つにしている家庭もありますから、これもデータに偏りがあるかもしれません。
こういう「ウソ」は見抜くのが難しいのですが、日頃から「情報を疑う」「いろいろな角度から考えてみる」習慣をつけるしかありません。
4.「人は自分の信じたいものを信じる」ことを頭に入れておく
心理学の有名な理論です。楽天的な人は「今日の占い」で自分の運勢が良ければそれを信じ、悪ければ忘れてしまいます。悲観的な人はその逆。
また、その時の状況によって、信じたいものが変わります。何か事件があったら、不安や恐怖から悲観的な方の情報を信じやすくなります。豊洲市場の地下水から有害物質が出たとき、多くの人が「そんな市場の魚や野菜なんて食べられない」と感じました。いくら科学者が「地下水を飲むわけではない、地上には上がってこない」と表明しても、それに耳を傾ける人は少なかったのです。マスコミもあおりましたし。
噂がデマに変わるのは、こういう心理が働いているからです。あやふやな情報や出所不明な情報(今回の事件ではたった1つのネット掲示板の書き込みでした)から始まって、すでに心配している人々が伝言ゲームのように拡散させていきます。そのプロセスで、相手が信じやすいように加工してしまうのも人間の心理です。「○○という噂がある」→「○○って聞いた」→「○○だって」→「○○で間違いない」というように。昔からある話ですが、今はLINEなどのSNSによって拡散のスピードと人数が桁違いに大きくなっています。
余談ですが、ふたば幼稚園も「廃園になるらしい」「幼稚園が引っ越す」「他の幼稚園と合併する」という噂(デマ)が広がったことがあります。
「正しい情報を正しく判断する」ことは、ご自身やお子さんを守ることになります。私も「信じやすい」タイプの人間なので、肝に銘じるようにします。